紅茶鑑定士・米山欣志さん

紅茶鑑定士の仕事は、茶葉の買い付けからテイスティング、ブレンドまで多岐にわたります。
神戸紅茶(株)の米山さんは紅茶鑑定士として認められるまでの間、師匠の下で何年も修業を積み重ねてきたそうです。
紅茶は、同じ産地の茶園でもその年の気候などで風味が大きく異なるものですが、様々な産地の茶葉をブレンドして商品の品質を安定させるのが、紅茶鑑定士の一番の腕の見せ所です。
ただ、そのためには膨大な茶葉をテイスティングして、世界各国の茶園やそれぞれのクオリティーシーズンの特徴を全て把握しておく必要があります。
さらに茶葉の産地の品質は、紅茶文化の本場である英国と同様に硬水に合うものが基準とされていることから、軟水である日本の水で抽出すると味が変わってしまうため、日本の水に合う茶葉も知っておく必要があります。
米山さんは世界各国から送られてくる膨大な数のサンプルを、日中の仕事が終わってから連日遅くまでテイスティングし、世界中の産地を自ら周ることで、それぞれの味の特徴を覚えていったそうです。
世界中から神戸紅茶(株)に送られてくる何千というサンプルを、全てテイスティングするだけでもかなりの作業量になりますが、日本のような消費地のティーテイスターは、大量のサンプルを飲んで茶葉のクオリティを瞬時に判断し、カルカッタやコロンボなどで行われているオークションでの競り価格を決めていかなければなりません。
さらに、産地の異なる茶葉をブレンドして独自のブランドを作るには、膨大な茶葉の知識だけでなく、魅力的な味を生み出すイマジネーションが必要になってきます。
米山さんは長年のテイスティングを通じて、日本の水と日本人の好みにあう紅茶のイメージがようやく掴めるようになってきたそうです。